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目的・理念

センターの使命  このセンターは、大学院レベルのナノサイエンス総合デザイン力を育成する実習重視型の学際副専攻の創設をめざしており、大学院生・社会人を対象に、部局間連携はもとより、産学連携、国内外の大学間連携により、ナノサイエンス・ナノテクノロジーを基盤とする日本のものづくり・ことづくりに資するエマージングサイエンスを担う高度人材育成を先導することを目的としています。発足当初よりナノサイエンス・ナノテクノロジーの部局横断教育「ナノ高度学際教育研究訓練プログラム」はいち早く応用力、学際力、構想力を伸ばす各種プログラムを実施してきました。プログラムの大きな特徴は設計、加工、計測、機能に跨る大学院レベルの先端実習・演習科目の付加にあります。大学院生・社会人に対して学内の多数の協力教員の支援の下に各研究室機材を用いた集中実習を夏休みに実施しています。 一方、ナノプログラム独自の実習用機材をナノサイエンスデザインラボラトリー (通称:ナノラボ)に整備し、社会人、及び短期滞在外国人学生向けに随時実習を実施しています。 現在既に利用されている応用技術の各論の知識習得よりは、将来に役立つ基礎科学技術に対する深い洞察力の育成に重点をおき、創造力を伸ばす先端機器を用いた実践実習を重視しています。 さらに、大学間連携・国際連携はもとより、産業界の支援による産学連携相互人材育成の考え方を取り入れ、「社会受容、産業応用」も視野に入れたデザインリサーチトレーニング (DRT)を通じて、複眼的ものの見方と社会適応性の高い国際的大学院レベルの人材育成を目指しています。

 国、企業、大学が一体となったナノ理工学人材育成

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ナノサイエンス総合デザイン力の育成

 ナノサイエンス・ナノテクノロジーを基盤とするエマージングサイエンスの人材育成のために大学院レベルで必要な要素として、各人の専門性の保持とナノ基本技術のマスター、専門外への関心と理解、他領域への応用能力、新しい学問領域の創出能力などが挙げられます。すなわち、応用力、学際力、構想力と、これらを統合した総合デザイン力の育成が求められます。この目的を達成するために以下の人材育成プログラムを実施しています。

(1) 大学院博士前期課程:理学、医学系、薬学、工学、基礎工学、生命機能の各研究科に跨る開講科目約100科目を6つのコースに再編統合し、計算機科学、エレクトロニクス・材料、超分子・バイオ、構造・機能解析、光学、文理融合に分類した分野体系の知識を習得させると共に、夏季集中実習、企業におけるナノテク活用事例を紹介するナノテクキャリアアップ特論、ナノテクノロジーの社会受容(ナノリスク・標準化を含む)、ロードマップデザインを学び討論する土曜集中講義、さらに英語による国際ナノ理工学特論を加えた1年間の高度学際教育プログラムで、大学院高度副プログラム(9単位)、副専攻プログラム(14単位)に指定されています。専門を越えた基礎研究開発への興味と意欲を持ち、社会受容の知識も持った修士人材の育成を図るものです。

(2)
大学院博士後期課程:学内から提案された学際萌芽的な課題と企業から提案される比較的応用に近い課題に対して異分野から大学院生を募り、企画討論、自主研究、報告活動を実施させてナノ領域の学際研究の企画・実施能力を育成するプログラムで、前者は「高度学際萌芽研究訓練」、後者は「産学リエゾンPAL 教育研究訓練」と呼ばれ、これらに土曜集中講義と国際ナノ理工学特論を加えた博士後期課程学生のキャリアアップを狙いとする1年間の大学院高度副プログラム(8単位)、副専攻プログラム(14単位)です。プロジェクトリーダーになれる素養を持った博士人材の育成や、産学が連携して企業研究開発活動の見識を持った博士人材の育成を図るものです。


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(3)社会人教育:計算機科学、エレクトロニクス・材料、ライフサイエンス、構造・機能解析、機能化学の5コースについて、各コース毎週13時間、年間30回と全コース共通4回の夜間講義(遠隔配信)と集中実習(スクーリング)、大学院共通の土曜集中講義からなる1年間の大学院レベルの科目等履修生高度プログラム(9単位) です。企業のプロジェクトリーダーとして新産業を担える高度研究者・技術者の育成をめざすもので、センター公開教室をキー教室に、国内各所のサテライト教室と個人PCを結んだ遠隔講義の双方向通信システムにより、場所を選ばずインタラクティブに講義・質問が行えるようになっています。社会人教育の修了生で学位を目指す社会人に対しては大学院博士後期課程社会人ナノ理工学特別コースが開設され、働きながら学位を取得するためのサポートを行っています。なお、社会人夜間講義は大学院博士後期課程社会人特別選抜学生には大学院高度副プログラム(10単位)として提供されています。

(4)
計算機材料デザインチュートリアル:計算機マテリアルデザインをテーマとした実習プログラムで、大学院生・社会人を対象として、主に3月、9月にナノプログラム(1),(3)の第1コース実習と同時開催で、5日間にわたり実施されます。海外実習ではインドネシア、フィリピン、ベトナム、タイ、マレーシアなどでの海外開催実績があり、今後も発展させます。
(5)
以上に加えて、エマージングサイエンス中核人材育成に向けたプログラム内容の発展を図ります。大学間連携によるプログラム配信と共有化、産学連携による相互人材育成、国際連携によるプログラム共有を通じて国際人材育成拠点形成などを実施します。 応用力、学際力、構想力を統合的に捉える総合デザイン力は「異なる考え・手法・分野を組み合わせて新しいエマージングサイエンス分野を生み出す智恵」になります。それを通じて、複眼的見方、社会適応性、国際感覚を持つ博士レベルの人材の育成とともに、分野横断的にものづくり新産業の創成を担える社会人若手の養成を目標とします。


写真(講演や実験の様子)

具体的には、大学院ナノプログラムのカリキュラム拡充、企業講師招へいのナノテクキャリアアップ特論の充実、他大学への配信実現等を担う大学院教育DRTDesign Research Training)(博士前期課程院生対象)、テクノロジーロードマップの提示とその中で自己の研究の位置づけを訓練するテクノロジーデザイン講座開設、学生に加えて企業若手も共同参加できる産学連携研究訓練の新設を担う学際融合DRT(博士後期課程院生対象)、産学相互連携による社会受容、産業応用を視野に入れた社会受容・標準化講座の開設、コンソーシアムの協力によって企業内教育ともリンクできる社会人教育を実現する社会連携DRT(社会人対象)などの総合デザイン力を育成し、既存のナノプログラムとのシナジー効果を利用します。その中で、社会受容・ナノリスクに関する共同研究への発展をめざします。国際・大学間DRTでは、社会人教育の全国ネットを活用した大学院・社会人教育の国内他大学との連携推進、ヨーロッパのナノネットワークを通じた共同プログラム開発、アジア地域との共同大学院や現地チュートリアル、大学院生・若手研究者の招聘実習等によるアジア人材育成拠点形成をめざします。一方、整備された実習機器については、本学のナノサイエンス・ナノテクノロジー分野の教職員、大学院生、社会人受講生がこれら機器を利用して実践実習を推進すると共に、産業界を含む本分野の人材育成に資する教育研究活動への有効利用を図ります。これらを通じて、ナノサイエンス・ナノテクノロジーを基盤とするものづくり・ことづくりに資するエマージングサイエンスの発展に寄与します。